闘を申し込むのだ。全体きさまはさっきから見てゐると、さもきさま一人の野原のやうに威張り返ってゐる。さあピストルか刀かどっちかを撰べ。」
山猫博士(たじろいで酒を一杯のむ。)「黙れ、きさまは決闘の法式も知らんな。」
キュステ「よし、酒を呑まなけぁ物を言へないやうな、そんな卑怯なやつの相手は子供でたくさんだ。おい ファゼロ、しっかりやれ、こんなやつは野原の松毛虫だ。おれが介添をやらう。めちゃくちゃにぶん撲ってしまへ。」
山猫博士、「よし、おい、誰かおれの介添人になれ。」
田園紳士二、「まあまあ、あんな子供のことですからどうか大目に見てやって下さい。今夜はたのしい夏まつりの晩ですから。」
山猫博士(なぐりつける。)「やかましい。そんなことはわかってゐる。黙って居れ。おい、誰かおれの介添をしろ。おい、ミラアきさまやれ。」
葡萄園農夫「おいらあやだよ。」
山猫博士、「〔臆〕病者、〔お〕い、ケルン、きさまやれ。」
田園紳士三、「おいらぁやだよ。」
山猫博士「おいてめいやれ。」
田園紳士四、「おいらぁやだよ。」
山猫博士、「よし介添人などいらない。さあ仕度しろ。」
キュステ、「きさまも仕度しろ。」(
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