水を呑む
そんなやつらが でかけて来ると
ポランの広場も 朝になる
ポランの広場も 白ぱっくれる。」
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ファゼーロは泣きだしそうになってだまってきいていましたが、歌がすむとわたくしがつかまえるひまもなく壇にかけのぼってしまいました。
「ぼくもうたいます。いまのふしです。」
楽隊はまたはじめました。山猫博士は、
「いや、これはめずらしいことになったぞ。」と云いながら又大きなコップで二つばかり引っかけました。
ファゼーロは力いっぱいうたいだしました。
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「つめくさの花の かおる夜は
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒くせのわるい 山猫が
黄いろのシャツで 出かけてくると
ポランの広場に 雨がふる
ポランの広場に 雨が落ちる。」
[#ここで字下げ終わり]
デストゥパーゴがもう憤然として立ちあがりました。
「何だ失敬な、決闘をしろ、決闘を。」
わたくしも思わず立ってファゼーロをうしろにかばいました。
「馬鹿を云え、貴さまがさきに悪口を言って置いて。こんな子供に決闘だなんてことがあるもん
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