は自分の靴《くつ》の中に鉛筆《えんぴつ》を削《けず》って変《へん》なメタルの歌をうたう、たのしい「夏の踊《おど》りの第《だい》三夜」です。
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 8 月夜のでんしんばしら[#「月夜のでんしんばしら」に傍点]
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うろこぐもと鉛色《なまりいろ》の月光、九月のイーハトヴの鉄道線路《てつどうせんろ》の内想《ないそう》です。
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 9 鹿踊りのはじまり[#「鹿踊りのはじまり」に傍点]
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まだ剖《わか》れない巨《おお》きな愛《あい》の感情《かんじょう》です。すすきの花の向《むか》い火や、きらめく赤褐《せっかつ》の樹立《こだち》のなかに、鹿《しか》が無心《むしん》に遊《あそ》んでいます。ひとは自分と鹿との区別《くべつ》を忘《わす》れ、いっしょに踊《おど》ろうとさえします。
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底本:「注文の多い料理店」角川文庫、角川書店
   1996(平成8)年6月25日改訂新版発行
   1997(平成9)年5月25日改訂4版発行
※「(中略、〜)」は編集者による注記です。創作的表現にはあたらない
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