うとく》の残滓《ざんし》を、色あせた仮面《かめん》によって純真《じゅんしん》な心意《しんい》の所有者《しょゆうしゃ》たちに欺《あざむ》き与《あた》えんとするものではない。
二 これらは新しい、よりよい世界《せかい》の構成材料《こうせいざいりょう》を提供《ていきょう》しようとはする。けれどもそれは全《まった》く、作者に未知《みち》な絶《た》えざる驚異《きょうい》に値《あたい》する世界|自身《じしん》の発展《はってん》であって、けっして畸形《きけい》に捏《こ》ねあげられた煤色《すすいろ》のユートピアではない。
三 これらはけっして偽《いつわり》でも仮[#「仮」に「ママ」の注記]空でも窃盗《せっとう》でもない。
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多少《たしょう》の再度《さいど》の内省《ないせい》と分析《ぶんせき》とはあっても、たしかにこのとおりその時|心象《しんしょう》の中に現《あら》われたものである。ゆえにそれは、どんなに馬鹿《ばか》げていても、難解《なんかい》でも必《かなら》ず心の深部《しんぶ》において万人《ばんにん》の共通《きょうつう》である。卑怯《ひきょう》な成人《せいじん》たちに畢竟《ひっき
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