こになく
修羅のなみだはつちにふる)
あたらしくそらに息つけば
ほの白く肺はちぢまり
(このからだそらのみぢんにちらばれ)
いてふのこずゑまたひかり
ZYPRESSEN いよいよ黒く
雲の火ばなは降りそそぐ
[#地付き]※[#始め二重パーレン、1−2−54]一九二二、四、八※[#終わり二重パーレン、1−2−55]
[#改ページ]
春光呪咀
いつたいそいつはなんのざまだ
どういふことかわかつてゐるか
髪がくろくてながく
しんとくちをつぐむ
ただそれつきりのことだ
春は草穂に呆《ぼう》け
うつくしさは消えるぞ
(ここは蒼ぐろくてがらんとしたもんだ)
頬がうすあかく瞳の茶いろ
ただそれつきりのことだ
(おおこのにがさ青さつめたさ)
[#地付き](一九二二、四、一〇)
[#改ページ]
有明
起伏の雪は
あかるい桃の漿《しる》をそそがれ
青ぞらにとけのこる月は
やさしく天に咽喉《のど》を鳴らし
もいちど散乱のひかりを呑む
(波羅僧羯諦《ハラサムギヤテイ》 菩提《ボージユ》 薩婆訶《ソハカ》)
[#地付き](一九二二、四、一三)
[#改ペー
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