くろいし
まるでこどもの苹果の頬だ
どうかきれいな頬をして
あたらしく天にうまれてくれ
  ※[#始め二重パーレン、1−2−54]それでもからだくさえがべ?※[#終わり二重パーレン、1−2−55]*
  ※[#始め二重パーレン、1−2−54]うんにや いつかう※[#終わり二重パーレン、1−2−55]
ほんたうにそんなことはない
かへつてここはなつののはらの
ちひさな白い花の匂でいつぱいだから
ただわたくしはそれをいま言へないのだ
   (わたくしは修羅をあるいてゐるのだから)
わたくしのかなしさうな眼をしてゐるのは
わたくしのふたつのこころをみつめてゐるためだ
ああそんなに
かなしく眼をそらしてはいけない
[#地付き]※[#始め二重パーレン、1−2−54]一九二二、一一、二七※[#終わり二重パーレン、1−2−55]

[#ここから10字下げ]
 註
*あめゆきとつてきてください
*あたしはあたしでひとりいきます
*またひとにうまれてくるときは
 こんなにじぶんのことばかりで
 くるしまないやうにうまれてきます
*ああいい さつぱりした
 まるではやしのなかにきたやうだ
*あたしこはいふ
前へ 次へ
全112ページ中68ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング