くろいし
まるでこどもの苹果の頬だ
どうかきれいな頬をして
あたらしく天にうまれてくれ
※[#始め二重パーレン、1−2−54]それでもからだくさえがべ?※[#終わり二重パーレン、1−2−55]*
※[#始め二重パーレン、1−2−54]うんにや いつかう※[#終わり二重パーレン、1−2−55]
ほんたうにそんなことはない
かへつてここはなつののはらの
ちひさな白い花の匂でいつぱいだから
ただわたくしはそれをいま言へないのだ
(わたくしは修羅をあるいてゐるのだから)
わたくしのかなしさうな眼をしてゐるのは
わたくしのふたつのこころをみつめてゐるためだ
ああそんなに
かなしく眼をそらしてはいけない
[#地付き]※[#始め二重パーレン、1−2−54]一九二二、一一、二七※[#終わり二重パーレン、1−2−55]
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註
*あめゆきとつてきてください
*あたしはあたしでひとりいきます
*またひとにうまれてくるときは
こんなにじぶんのことばかりで
くるしまないやうにうまれてきます
*ああいい さつぱりした
まるではやしのなかにきたやうだ
*あたしこはいふ
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