いれいろう》のつぎ目も光り
(お日さまは
そらの遠くで白い火を
どしどしお焚きなさいます)
笹の雪が
燃え落ちる 燃え落ちる
[#地付き](一九二二、一、一二)
[#改ページ]
カーバイト倉庫
まちなみのなつかしい灯とおもつて
いそいでわたくしは雪と蛇紋岩《サーベンタイン》との
山峡《さんけふ》をでてきましたのに
これはカーバイト倉庫の軒
すきとほつてつめたい電燈です
(薄明《はくめい》どきのみぞれにぬれたのだから
巻烟草に一本火をつけるがいい)
これらなつかしさの擦過は
寒さからだけ来たのでなく
またさびしいためからだけでもない
[#地付き](一九二二、一、一二)
[#改ページ]
コバルト山地
コバルト山地《さんち》の氷霧《ひようむ》のなかで
あやしい朝の火が燃えてゐます
毛無森《けなしのもり》のきり跡あたりの見当《けんたう》です
たしかにせいしんてきの白い火が
水より強くどしどしどしどし燃えてゐます
[#地付き](一九二二、一、二二)
[#改ページ]
ぬすびと
青じろい骸骨星座のよあけがた
凍えた泥の乱《らん》反
前へ
次へ
全112ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング