》ひでりあめ
風に霧ふくぶりきのやなぎ
くもにしらしらそのやなぎ
(ゆれるゆれるやなぎはゆれる)
りんと立て立て青い槍の葉
そらはエレキのしろい網
かげとひかりの六月の底
気圏日本の青野原
(ゆれるゆれるやなぎはゆれる)
[#地付き]※[#始め二重パーレン、1−2−54]一九二二、六、一二※[#終わり二重パーレン、1−2−55]
[#改ページ]
報告
さつき火事だとさわぎましたのは虹でございました
もう一時間もつづいてりんと張つて居ります
[#地付き](一九二二、六、一五)
[#改ページ]
風景観察官
あの林は
あんまり緑青《ろくしやう》を盛《も》り過ぎたのだ
それでも自然ならしかたないが
また多少プウルキインの現象にもよるやうだが
も少しそらから橙黄線《たうわうせん》を送つてもらふやうにしたら
どうだらう
ああ何といふいい精神だ
株式取引所や議事堂でばかり
フロツクコートは着られるものでない
むしろこんな黄水晶《シトリン》の夕方に
まつ青《さを》な稲の槍の間で
ホルスタインの群《ぐん》を指導するとき
よく適合し効果もある
何といふいい精神だらう
たとへそ
前へ
次へ
全112ページ中46ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング