うな実にもなる野ばらの花だ
れ ┃  立ちどまりたいが立ちどまらない
ば ┃ とにかく花が白くて足なが蜂のかたちなのだ
そ ┃ みきは黒くて黒檀《こくたん》まがひ
の ┃  (あたまの奥のキンキン光つて痛いもや)
手 ┃ このやぶはずゐぶんよく据ゑつけられてゐると
か ┃ かんがへたのはすぐこの上だ
ら ┃ じつさい岩のやうに
こ ┃ 船のやうに
と ┃ 据ゑつけられてゐたのだから
り ┃ ……仕方ない
は ┃ ほうこの麦の間に何を播いたんだ
そ ┃ すぎなだ
ら ┃ すぎなを麦の間作ですか
へ ┃ 柘植《つげ》さんが
と ┃ ひやかしに云つてゐるやうな
ん ┃ そんな口調《くてう》がちやんとひとり
で ┃ 私の中に棲んでゐる
行 ┃ 和賀《わが》の混《こ》んだ松並木のときだつて
く ┃ さうだ
[#「┃」は一本につながった罫線]
[#地付き](一九二二、五、一四)
[#改ページ]

  休息


そのきらびやかな空間の
上部にはきんぽうげが咲き
 (上等の butter−cup《バツタカツプ》 ですが
  牛酪《バター》よりは硫黄と蜜とです)
下にはつめくさや芹がある
ぶりき細工のと
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