えたかを
見ようとして私《わたし》の来たのに対し
それは恐ろしい二種の苔で答へた
その白つぽい厚いすぎごけの
表面がかさかさに乾いてゐるので
わたくしはまた麺麭ともかんがへ
ちやうどひるの食事をもたないとこから
ひじやうな饗応《きやうおう》ともかんずるのだが
(なぜならたべものといふものは
 それをみてよろこぶもので
 それからあとはたべるものだから)
ここらでそんなかんがへは
あんまり僭越かもしれない
とにかくわたくしは荷物をおろし
灰いろの苔に靴やからだを埋め
一つの赤い苹果《りんご》をたべる
うるうるしながら苹果に噛みつけば
雪を越えてきたつめたい風はみねから吹き
野はらの白樺の葉は紅《べに》や金《キン》やせはしくゆすれ
北上山地はほのかな幾層の青い縞をつくる
  (あれがぼくのしやつだ
   青いリンネルの農民シヤツだ)
[#地付き](一九二三、一〇、二八)
[#改ページ]

  イーハトヴの氷霧


けさはじつにはじめての凜々しい氷霧《ひようむ》だつたから
みんなはまるめろやなにかまで出して歓迎した
[#地付き](一九二三、一一、二二)
[#改ページ]

  冬と銀河ステーシ
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