結んである紐《ひも》を解けば、面白いやうにいなづまが出るから。」
「どうも、ありがたう。」
さう言つて、七色の虹猫はいなづまを一たば貰《もら》ひ、二人はていねいに握手して別れました。
大男の雷様は、大いそぎで、家《うち》へ帰ると、言ひつけられたとほりにしました。それから後といふものは、自分は、なんでも人の心を当てることができると信じてゐます。おかげで、雷様はすつかり、をさまりかへつて、もう誰《だれ》にも、別だん害をしません。
七色の虹猫は、いなづまの束をもつて、すぐにお城へ帰つて来ました。そこにゐた人たちは猫がしてくれたことを、たいへんよろこんで、口々にお礼を言ひました。虹猫もすつかり満足して、一週間、雲のお宮にゐて、それから自分のお伽《とぎ》の国へ帰りました。そのゝち、何事が起つたかは、又この次にお話しませう。
底本:「日本児童文学大系 第一一巻 楠山正雄 沖野岩三郎 宮原晃一郎集」ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日初刷発行
初出:「赤い鳥」1927(昭和2)年1月
入力:鈴木厚司
校正:noriko saito
2004年8月13日作成
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