をさかんにいぢめ、しじう、物を盗んで行きます。ひどいことには、子供までもさらつて行くのでした。
虹猫は、じつさいに、目のあたりこの大女を見たといふ人には、誰《たれ》ともあひませんでした。が、大女の恐ろしい顔や、そのすることについて、身の毛もよだつやうな話を聞かされました。
なんでも、その大女は、あたりまへの人間のせいの三倍も高くて、その髪はふとい繩《なは》のやうによれて目からは焔《ほのほ》が吹《ふ》き出してゐる。くさめ[#「くさめ」に傍点]をすると、まるで雷が鳴るやうな、凄《すご》い音がして、木や草は嵐《あらし》にあつたやうに吹きなびかされる。ぢだんだをふむと小さな村なんか一ぺんで、ひつくり返つてしまふ。そればかりでなく、その大女は魔物だけあつて、魔法をつかふことができるといふので、土地の人たちは何よりもそれを一ばん恐《こは》がつてゐました。
暗い夜など、大女は六|疋《ぴき》の竜にひかせた車にのつて、お城から降りてくるといふのでした。で、土地の人たちはそのすごい音を聞くと、めい/\自分の家ににげこんで戸をしめ、窓に錠をかけて、ぶるぶるふるへてゐるのでした。うちにゐても、納屋だ
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