て来ます!」
 豆小僧は泣声を出して、必死に走りました。早くは行けませんが、それでもお寺の門にいま一足でとゞくところになりました。が、悪魔の手も、もう一尺のびれば、豆小僧の襟がみをとらへるところになりました。あゝ、あぶない、あぶない!
 そのとき和尚さんが門のうちから走り出して、何やらお経を読みながら悪魔の頭を数珠《じゆず》で打ちますと、悪魔の姿は煙《けむ》のやうになつて、消えてしまひました。豆和尚さんはその後、決して豆小僧を山へ柴刈《しばかり》にはやらないやうになりました。



底本:「日本児童文学大系 第一一巻」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「日本童話選集 第一輯」童話作家協会編、丸善
   1926(大正15)年12月
初出:「赤い鳥」赤い鳥社
   1925(大正14)年1月
入力:tatsuki
校正:鈴木厚司
2005年8月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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