て来て、汐《しほ》の中に、ドブン、ザワ/\と音を立てました。子良はそら今だと大急ぎで飛び出し、その釣瓶の水をあけると、自分が代つてその中に入りました。釣瓶は勢よく天へ引き上げられ、高く/\上がつたとき、どうした機《はず》みにかその繩《なは》がきれて、子良は真逆様《まつさかさま》に地面へ墜《お》ち、身体《からだ》は形もないほどメチヤ/\にこはれてしまひました。けれどもその時子良の魂だけは、フワリと浮いて、羽衣も釣瓶もなしに、ひとりでに高く/\天へ昇つて行きました。



底本:「日本児童文学大系 第一一巻 楠山正雄 沖野岩三郎 宮原晃一郎集」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
入力:鈴木厚司
校正:noriko saito
2004年8月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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