ゐるつて言つたらう。そしたら此《こ》の上の方の傷口から出たのと同じ形ぢやないか。僕のは丸い弾丸だから、この下の方のと同じだ。そしたら、僕の弾丸こそ心臓に中つてゐるんぢやないか」
チャラピタは穏かながら、自信をもつて、さう言ひました。けれども、キクッタはどうしても承知しません。とう/\自分の弾丸が、熊を仆したのだと強情を張りとほしてしまひました。
五
おとなしいチャラピタでしたが、これには少からず腹を立てました。でもその日はキクッタのむりな言ひ分を通しましたが、それからは、また元のとほり、ひとりで狩に出て、せつせと熊《くま》を狩り集めてゐました。
キクッタの方では、相当な大熊を自分がまつさきに打ちとつたことにしましたので、まづ一安心しましたが、その後チャラピタにもつと大きなのを捕られたんでは大へんですから、ひとりで歩いて、もつと大きな熊をとらうとしましたが、さつぱりとれないのに、チャラピタはさう大きくはないけれど運よくもう三|疋《びき》もとつてゐるので、やきもきして何んとか、かんとか、うまいことを言つて、チャラピタといつしよに往《い》かうとしましたが、チャラピタはキク
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