熊捕り競争
宮原晃一郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)少し前頃《まへごろ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)北海道|有珠《うす》の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)おやつ[#「おやつ」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ふさ/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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    一

 御維新の少し前頃《まへごろ》、北海道|有珠《うす》のアイヌ部落《コタン》にキクッタとチャラピタといふ二人の少年がゐました。キクッタは十七で、チャラピタは一つ下の十六でした。小さなときから、大へん仲好《なかよ》しで、遊ぶにも魚をとるにも、また罠《わな》をかけに行くにも、いつも一しよでした。ところが、その年になつて、二人が今までのやうに睦《むつま》じくやつていけないことが起りました。それはアイヌが一ばん手柄にする熊捕《くまと》りの競争を二人が始めたからです。特に本年は
「部落《コタン》で、十五歳から十八歳までの少年で、一ばん早く、一ばん大きな熊をとつたもの、または一番沢山
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