れて行く間は、せめては冷たく、堅く、物凄い真理のゴルゴンの見えぬやう、愛なる酒に酔うて、幻滅に開かんとする眼を眩《くら》まして置かう。自分には「虚無に立脚した力強い肯定も」出来ねば、「絶望の法悦」も味ははれぬ身であるから、輪廻《りんね》を想うて非常な悒鬱、絶望に陥りかけたニイチエか Uacht Zum Nille を高調し、そこに悦ばしい生命の隠遁所を発見したやうに憎悪を通じて自己肯定へ進まう。
[#地から2字上げ](大正九・八「新潮」)



底本:「惜しみなく愛は奪う」角川文庫、角川書店
   1969(昭和44)年1月30日改版初版発行
   1979(昭和54)年4月30日改版14版発行
初出:「新潮」
   1920(大正9)年8月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:鈴木厚司
校正:土屋隆
2008年3月20日作成
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