ト置かなければなりません。即ち、ノルウェイ、スウェデンの兩國と、デンマルクは勿論のこと、イスランド、及びスウェデン語を話すフィンランドの一部分のことであります。普通にスカンヂナヴィア文學のことを北歐文學と申しますが、此の場合に於ける北歐といふ言葉の範圍はきはめて曖昧で、屡々ロシア、ドイツ、オランダ、ベルギイの如きですらも、北歐とよばれることがあります。それで私はわざと北歐といはずに、文學が基礎として立つ言葉を同じくし、地理的に近接し、歴史、民族、風習の上からも、非常に密接な關係にある北歐の諸國をスカンヂナヴィアの名の下に、引つ括るめて、お話しようと存じます。然し、十三世紀の頃から始まつて、現在まで約八百年に亘るスカンヂナヴィア文學の全貌を、此處に十分に申述べることは、たうてい不可能でありますから、ここでは傍系のフインランドや中世からのイスランドは措きまして、主要な丁、諾、瑞の三國について、ごく大掴みに、申上げることに致しませう。
二、一貫せるロマン主義
スカンヂナヴィア文學は英吉利また獨逸の文學とその發達の經路を殆んど同じくしてゐる。即ち、最初に神話、英雄傳説が歌の形で
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