ウェイ作家たちから、デンマルク・ユルラン派の郷土文學、スウェデンのセルマ・ラーゲルレーヴ 〔Selma lagerlo:f〕、ヘイデンスタム Heidenstam 等、みなそれ/″\特色はありながら、皮一重の下はみなローマンチストだと云へませう。二十世紀に入つてスカンヂナヴィアでも寫實主義や、社會、文學の問題などに關心をもつやうになつて、共産主義小説などといつて、四十卷にも亘る大小説を書いたノルウェイのクリストッフェル・ウップダール Updal の如きがあり、また昨年還暦の記念出版をしてノーベル賞の候補に推された、デンマルクのマルチン・アンネルセン・ネクセー 〔Martin Andersen Nexo:〕 などがあります。またスウェデン、フインランドにも赤色作家があるさうですが、これ等は紹介によりますと、やはりローマンチックで、人道主義的であると言ひます。特にネクセーの如きは、私はその作を讀んで、明かに彼がヒュマンテリアンであつて、決して、勞農文學のプロレタリヤ作家でないことを知りました。
 以上、説いて未だ盡くさぬところが澤山ありますが、一先づこれを以て終ることに致します[#「致します」は底本では「致しとます」]。[#地から2字上げ](放送講演による)



底本:「北歐の散策」生活社
   1943(昭和18)年3月20日発行
※ルゥドヴィク・ホルベルの没年は、「大百科事典 13」平凡社、1985(昭和60)年6月28日発行の「ホルベア」の項によれば、一七五四年です。
入力:鈴木厚司
校正:土屋隆
2008年3月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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