す樣に』。
伯爵夫人は答なし[#「伯爵夫人は答なし」に白丸傍点]。
『お聞濟でございませうか。』
『あゝ[#「あゝ」に白丸傍点]』
『それでは宜しうございますね。』
『何かい[#「何かい」に二重丸傍点]、魔醉劑をかい[#「魔醉劑をかい」に二重丸傍点]。』
『いや[#「いや」に白丸傍点]、よさうよ[#「よさうよ」に白丸傍点]』
『それでは夫人、御療治が出來ません。』
『はあ[#「はあ」に白丸傍点]、出來なくツても可よ[#「出來なくツても可よ」に二重丸傍点]。』
『奧、そんな無理を謂つては不可ません。出來なくツても可といふことがあるものか。我儘を謂つてはなりません。』
『はい。』
『それでは御得心でございますか。』
腰元は其間に周旋せり。夫人は重げなる頭を掉りぬ。
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是れ夫人が魔醉藥を拒むで服せざる所[#「是れ夫人が魔醉藥を拒むで服せざる所」に傍点]、其の决心の態[#「其の决心の態」に傍点]、窘窮の状[#「窘窮の状」に傍点]、傍にあつて見るが如し[#「傍にあつて見るが如し」に傍点]。
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『そんなに強ひるなら仕方がない[#「そんなに強ひるなら仕方
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