をしているとらちくちがあかない。巡査でもだれでもよんできておくんなさい。
とだんだんいい募れども。浜子はもと深窓に生いたちて。かかるかけ合いなどは夢にも聞きたることすらなければ。ただただ同じことのみいい。ついにはなき出でぬべきけしきなれば。執事の三太夫はとんで出できたり。
三太「どこのお神さんだか失礼な方だ。もうもうお姫様おなき遊ばしますな。なおつけあがりますから。エおかみさん。今は殿様も御不在だし。わけがわからんから。また御在宅の時においでなさるがよい。わが輩が委細の趣は申し上げるから。
これにてようようお貞もしずまり。ここまでこぎつけておけば。あとはゆるゆるが上策なりと思いてか。三太夫になだめらるるを幸いに。じゃじゃばりながら帰り行く。
はま子はあとになき声をふるわせながら。
浜「だれでもはやくおむかいにいッておくれ。ヨウ早く。
かくてお貞はその夜きたれるのみか。朝に夕にきたりて悪口雑言をいいののしれど。浜子もおろかならねば。家来にもいいふくめて。ただるすとのみことわりていたりしが。その後より山中の様子もうってかわり。三日にあげずいずかたへか泊りきたり。ついにははま子のしらぬ
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