しにすっかりその話をしてごらん、そうすれば、わたしが君の力になって上げられるかも知れない。わたしは今までに、沢山の若者を助けて、やって見ないうちは随分とむずかしそうに見えた冒険を仕遂げさせたこともあるんだから。多分君はわたしのことを聞いたことがあるだろう。わたしには、いろんな名前がある。しかしクイックシルヴァという名前が、他のどれよりもわたしに適している。まあ、君の心配事をわたしに聞かせなさい。そうすれば、二人でよく相談して、何かうまい方法が見つかるかも知れない。』
 その見知らぬ人の言葉と態度とが、パーシウスを、まるで前とは打って変った気持にしました。彼はどうせ今までよりも悪いことになりっこはないし、それにどうかすると、この新しい友達が、結局大変よかったというようなことになりそうな、何かいい智恵でも貸してくれそうな気がしたので、彼の心配事をすっかりクイックシルヴァに話してしまうことにきめました。そこで彼は、かいつまんで、ありのままに事情を打明けました、――つまり、ポリデクティーズ王が、美しいヒポデイミヤ姫に対する婚礼の贈物として、蛇の髪をしたメヅサの首をほしがっていること、それから彼
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