供達だった。私は彼等の名前をいうことも、又今まで世間の子供達につけられたどんな名前で彼等を呼ぶこともやめておき度《た》い。というのは、物を書く人が彼等の著書の中の人物に、たまたま実在する人の名前をつけたがために、大変厄介なことになるような場合が間々《まま》あるということを、私はよく知っているから。そんなわけで、私は彼等を、プリムロウズ、ペリウィンクル、スウィート・ファーン、ダンデライアン、ブルー・アイ、クロウヴァ、ハックルベリ、カウスリップ、スクォッシュ・ブロッサム、ミルク・ウィード、プランティン、それからバタカップという風に呼んでおこうと思う。尤《もっと》も、こんな名前は、人間の子供達の仲間によりも、一群の妖精達につけた方がふさわしいような気もするけれども。
 彼等が、誰か特に真面目な年長者の監督なしに、森や野原を方々《ほうぼう》歩き廻るというようなことは、彼等の注意深い父や母や、叔父や叔母や、或《あるい》は又《また》祖父母達から許されようとは思えない。どうしてどうして、とんでもない! この本の書出しのところで、背の高い青年が子供達のまん中に立っていたと私が言ったことを、読者は思い出
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