しいことをあなたは言ってるんでしょう!』とプリムロウズは叫んだ。
 そんな無駄口をききながら、みんなはさっきから山を下りはじめていたが、もう森の蔭へ来た。プリムロウズは山月桂樹の枝を少し取ったが、その葉は去年の葉だのに、霜や雪解《ゆきどけ》が交代でその葉の組織で力試しをしたことなどはまるでなかったかのように、青々として弾力があった。これらの月桂樹の枝で、彼女は冠を編んで、それを学生の額にかぶらせようと、彼の帽子を取った。
『あなたの話に感心して、あなたに月桂冠を捧げるような人は、ほかには無さそうだわ、』と生意気なプリムロウズは言った、『だから、あたしからこれをお受けなさい。』
『これらの不思議な、面白い話によって、僕がほかからも月桂冠を受けないとは限らないよ、』と答えたユースタスは、つやつやした巻毛に月桂冠をつけて、本当に青年詩人のようだった。『僕はこれから休みの間、暇を見て、それから大学に帰ってからも、夏の学期中、今までの話を原稿に書いて、出版するつもりだ。去年の夏、バークシアで知合いになった人だが、出版もやれば、詩も書くというヂェイ・ティー・フィールヅ氏は、一目《ひとめ》で僕の話のすぐれた価値が分るだろう。彼はビリングズにでも挿画を描かして、ティックナ社といったような有名な出版|書肆《しょし》から、それを立派に世に出してくれると思うんだ。今から五箇月もしたら、僕はきっと、現代の大家の中に数えられてるね!』
『かわいそうに!』とプリムロウズは半分ひとりごとのように言った。『彼は当てがはずれて、どんなにがっかりするでしょう!』
 も少し下へおりて行くうちに、熊公《ブルイン》が吠えはじめた。すると先輩のベンがもっと重みのある声でそれに応《こた》えた。彼等はまもなく、その感心な老犬が、ダンデライアンとスウィート・ファーンとカウスリップとスクォッシュ・ブロッサムとを、油断なく見張っているのを見た。それらの小さな子供達は、すっかり疲れもなおって、チェッカベリ摘みをはじめていたのだが、みんながおりて来たので、迎いに登って来た。こうしてまた一しょになると、みんなそろって、ルーサ・バトラさんとこの果樹園を抜けて丘をおりて、大急ぎでタングルウッドへ帰って行った。



底本:「ワンダ・ブック 少年少女のために」岩波文庫、岩波書店
   1937年(昭和12)年9月1日第1刷発行
 
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