たちまちのうちに、ほとんど見えないくらいになってしまいました。日が沈んでから大分たつので、ちょうど今、ヘリコン山の頂《いただき》はたそがれで、そのまわりの地方一帯は夕闇につつまれていました。しかしペガッサスは大変高く昇って行ったので、暮れた日に追いついて、上空に消えのこる日の光を一杯に浴びました。まだまだ高く昇って、彼はぽっつりと光った点のようになり、そしておしまいには、うつろにひろがった空の中にとうとう見えなくなってしまいました。そしてビレラフォンは、もう二度とペガッサスを見られないのではないかと、心配しました。しかし彼が、馬鹿なことをしてしまったと嘆いているうちに、ぽっつりと光った点がまた見えて来て、だんだんと近くなり、とうとう日の光よりも低くおりて来ました。そして、どうでしょう、ペガッサスは帰って来たではありませんか! こうして試《ため》してみた以上は、もうその翼のある馬にも逃げられる心配はなくなりました。ペガッサスとビレラフォンとは仲よしになり、お互に愛情をこめて信じ合いました。
その晩、彼等は仲よくならんで寝ました。ビレラフォンはペガッサスの頸を抱くようにしていましたが、それは逃げられない用心のためではなく、親切からでした。そして彼等は明け方に目をさまして、それぞれ自分の言葉で、お互に朝の挨拶をかわしました。
こんな風にして、ビレラフォンとその不思議な馬とは数日を過ごして、日一日と、互に一層|気心《きごころ》も分り、よけいに好きになりました。彼等は長い空の旅に出かけて、地球が大方お月様ほどにしか見えなくなるくらいまで高く昇りました。彼等は遠くの国々をおとずれて、その住民をおどろかしました。彼等は、翼のある馬の背中に乗ったその美しい青年を、天からおりて来たものにちがいないと思ったのです。一日に千マイルくらいは、速いペガッサスにとっては、わけなく飛べる道程《みちのり》でした。ビレラフォンはそうした生活を喜んで、いつもそんな風に、からりとした、高い空中で暮らせたら一番いいのにと思いました。というのは、下の世界がどんなに陰気で、雨なんぞ降っていようと、上の方ではいつも上天気でしたから。しかし彼は、アイオバティーズ王に、退治て見せると約束した、おそろしいカイミアラを忘れることは出来ませんでした。そこで彼は、空中での乗馬の業《わざ》にも十分|慣《な》れ、ほんのちょ
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