貝殼追放
新聞記者を憎むの記
水上瀧太郎
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)情愛《なさけ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)寫眞丈|撮《うつ》させてくれ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]り、
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)幾度も/\
−−
大正五年秋十月。
八月の中旬に英京倫敦を出た吾々の船は、南亞弗利加の喜望峯を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]り、印度洋を越えて、二ヶ月の愉快な航海の終りに、日本晴といふ言葉が最も適確にその色彩と心持とを云ひ現す眞青な空を仰いで、靜な海を船そのものも嬉しさうに進んで行く。左舷には近々と故郷の山々が懷を開いて迎へてゐる。自分は曉から甲板に出て、生れた國の日光を浴びながら、足掛け五年の間海外留學の爲に遠ざかつた父母の家を明瞭に想ひ浮べて欣喜した。
勿論自分は後にして來た亞米利加、英吉利、佛蘭西に樂し
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