の姿といふものを冷やかに見つめることは寂しいには寂しい。だがそれ以外にほんたうに心のおちつくわざはないのである。街路をあるいてゐる人間のとり/″\の顏つきや姿勢などをひとりはなれてこつちから見てゐると、なんとはなしにをかしくなつて吹き出したくなることがありはしないか。自分自身の慘めな姿をも、一定の間隔をおいてそんなふうに笑つてみるだけの心の餘裕を持ちたいと古賀はおもふのだ。何ものゝ前にもたじろがぬさうした心をしかしどこに求めよう。それは結局はやはり、自分たちの(原文二十七字缺)ことのなかにある。(原文七字缺)自分の運命の暗さにも笑へる餘裕をあたへてくれる。眞暗な獨房のなかに骨の髓までむしばむニヒルをかんじながら、しかもなほそこから立ち直つて來た古賀の力もそのなかにあつた。その(原文二字缺)がもつと身について來た時に(原文二十七字缺)もできるのだ。死の一歩手前にあつてなほも夢想し、計畫し、生きる希望を失はない男。古賀はそんな男を自分の頭のなかにゑがいてゐる。
おそらくはこのまゝの状態でなほ何年かつゞくであらう生活のなかにあつて、自分の(原文六字缺)を自分自身ぢつと見まもつてゆくことに、
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