てがかつて思つても見なかつたほどに有利に解決されてゐることを知つたのである。青年のうちの誰であらう? 彼はふたたびそれを考へた。彼が捕はれ、事務所が荒されるまでにはほんのちよつとの隙があつたにちがひはない。その隙に乘じての青年たちの敏速な行動であつたのである。それにしても彼はかつて自分が青年たちの知らない組織の一人であることを明したことはなく、ましてさういふ場合の處置について依頼したことはなかつたのだ。それだけに感動は大きく、こみあげて來る熱いものをせきとめることはできなかつた。――
「まあいい、今日は歸れ。」
内田の聲に杉村は囘想を斷たれた。内田が立つたので彼も亦立つた。立上つた内田は何か考へてゐるふうであつたが、ちよつと待て、といつて次の室へ行き、風呂敷包みを一つ下げて戻つて來た。かなりの嵩のものを机の上にどさり、とおき、
「大西つて知つてるだらうな?」
と訊いた。
今はくらべもののないほどの大いさで彼の心を占めてゐるその名をふいに指され、杉村は思はずぎくりとした。きつとした心で顏をあげた。それには一向氣づかぬらしく、内田は自分で風呂敷包みの結びを半分ときかけながらつゞけた。
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