》つての航海《こうかい》には、夥《おびたゞ》しき鐵材《てつざい》と、黄金《わうごん》眞珠等《しんじゆなど》少《すく》なからざる貴重品《きちやうひん》を搭載《たうさい》して居《を》る相《さう》で、其《その》船脚《ふなあし》も餘程《よほど》深《ふか》く沈《しづ》んで見《み》えた。
弦月丸《げんげつまる》の舷梯《げんてい》へ達《たつ》すると、私共《わたくしども》の乘船《じやうせん》の事《こと》は既《すで》に乘客《じやうきやく》名簿《めいぼ》で分《わか》つて居《を》つたので、船丁《ボーイ》は走《はし》つて來《き》て、急《いそが》はしく荷物《にもつ》を運《はこ》ぶやら、接待員《せつたいゐん》は恭《うや/\》しく帽《ぼう》を脱《だつ》して、甲板《かんぱん》に混雜《こんざつ》せる夥多《あまた》の人《ひと》を押分《おしわけ》るやらして、吾等《われら》は導《みちび》かれて船《ふね》の中部《ちゆうぶ》に近《ちか》き一|等《とう》船室《せんしつ》に入《い》つた。どの※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]船《きせん》でも左樣《さう》だが、同《おな》じ等級《とうきふ》の船室《キヤビン》の中《うち》でも、
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