かう》航海《かうかい》だと語《かた》つた程《ほど》で、從《したがつ》て其間《そのあひだ》には格別《かくべつ》に記《しる》す程《ほど》の事《こと》もない。たゞ二つ三つ記臆《きおく》に留《とゞま》つて居《を》るのは斯《かゝ》る平和《へいわ》の間《あひだ》にも不運《ふうん》の神《かみ》は此《この》船《ふね》の何處《いづこ》にか潜伏《ひそ》んで居《を》つたと見《み》え、船《ふね》のメシナ[#「メシナ」に二重傍線]海峽《かいけう》を出《いで》んとする時《とき》、一人《ひとり》の船客《せんきやく》は海中《かいちゆう》に身《み》を投《な》げて無殘《むざん》の最後《さいご》を遂《と》げた事《こと》と、下等船客《かとうせんきやく》の一《いち》支那人《シナじん》はまだ伊太利《イタリー》の領海《りやうかい》を離《はなれ》ぬ、頃《ころ》より苦《くる》しき病《やまひ》に犯《おか》されて遂《つひ》にカンデイア[#「カンデイア」に二重傍線]島《じま》とセリゴ[#「セリゴ」に二重傍線]島《じま》との間《あひだ》で死亡《しぼう》した爲《ため》に、海上《かいじやう》の規則《きそく》で船長《せんちやう》以下《いか》澤山《た
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