目下《もつか》の急《きふ》丈《だ》けを、かの軍艦《ぐんかん》に助《たす》けられて、何處《いづこ》でもよい、最近《さいきん》の大陸地方《たいりくちほう》に送《おく》り屆《とゞ》けて貰《もら》つたならば、其後《そのゝち》は必死《ひつし》に奔走《ほんさう》して、如何《どう》にかして、豫定《よてい》の期日《きじつ》までに約束《やくそく》の凖備《じゆんび》を整《とゝの》へて、櫻木大佐等《さくらぎたいさら》が待《ま》てる橄欖島《かんらんたう》に到着《たうちやく》する事《こと》の出來《でき》ぬでもあるまい。
斯《か》う考《かんが》へたので、急《いそ》ぎ武村兵曹《たけむらへいそう》に談合《だんがふ》すると、兵曹《へいそう》も無論《むろん》不同意《ふどうゐ》はなく、直《たゞ》ちに白《しろ》い手巾《ハンカチーフ》を振廻《ふりまわ》して、救難《きゆうなん》の信號《しんがう》をすると、彼方《かなた》の白色巡洋艦《はくしよくじゆんやうかん》でも、吾等《われら》の輕氣球《けいきゝゆう》を認《みと》めたと見《み》え、其《その》前甲板《ぜんかんぱん》に白《しろ》と赤《あか》との旗《はた》が、上下《うへした》にヒラ/\と動《うご》くやうに見《み》えた。此《この》途端《とたん》! 武村兵曹《たけむらへいそう》は、忽《たちま》ち何者《なにもの》をか見出《みいだ》したと見《み》へ、割《わ》れるやうな聲《こゑ》で叫《さけ》んだ。
『大變《たいへん》! 大變《たいへん》! 大變《たいへん》だア』
私《わたくし》も愕然《がくぜん》として振向《ふりむ》くと、今迄《いまゝで》は白色巡洋艦《はくしよくじゆんやうかん》の一方《いつぽう》に氣《き》を取《と》られて、少《すこ》しも心付《こゝろづ》かなかつたが、只《たゞ》見《み》る、西方《せいほう》の空《そら》一面《いちめん》に「ダンブロー鳥《てう》」とて、印度洋《インドやう》に特産《とくさん》の海鳥《かいてう》――其《その》形《かたち》は鷲《わし》に似《に》て嘴《くちばし》鋭《するど》く、爪長《つめなが》く、大《おほき》[#ルビの「おほき」は底本では「おほい」]さは七|尺《しやく》乃至《ないし》一|丈《じやう》二三|尺《じやく》位《ぐら》いの巨鳥《きよてう》が、天日《てんじつ》も暗《くら》くなる迄《まで》夥《おびたゞ》しく群《ぐん》をなして、吾《わ》が輕氣球《けいきゝゆう
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