話《だんわ》暫時《しばし》途絶《とだ》えた時《とき》、ふと、耳《みゝ》を澄《すま》すと、何處《いづこ》ともなく轟々《ごう/\》と、恰《あだか》も遠雷《えんらい》の轟《とゞろ》くが如《ごと》き響《ひゞき》、同時《どうじ》に戸外《こぐわい》では、猛犬稻妻《まうけんいなづま》がけたゝましく吠立《ほえた》てるので、吾等《われら》は驚《おどろ》いて立上《たちあが》る、途端《とたん》もあらせず! 響《ひゞき》は忽《たちま》ち海上《かいじやう》に當《あた》つて、天軸《てんじく》一時《いちじ》に碎《くだ》け飛《と》ぶが如《ごと》く、一陣《いちぢん》の潮風《ていふう》は波《なみ》の飛沫《とばしり》と共《とも》に、サツと室内《しつない》に吹付《ふきつ》けた。
『大海嘯《おほつなみ》! 大海嘯《おほつなみ》!。』と一同《いちどう》は絶叫《ぜつけう》したよ。
周章狼狽《あわてふためき》戸外《こぐわい》に飛出《とびだ》して見《み》ると、今迄《いまゝで》は北斗七星《ほくとしちせい》の爛々《らん/\》と輝《かゞや》いて居《を》つた空《そら》は、一面《いちめん》に墨《すみ》を流《なが》せる如《ごと》く、限《かぎ》りなき海洋《かいやう》の表面《ひやうめん》は怒濤《どたう》澎湃《ぼうはい》、水煙《すいえん》天《てん》に漲《みなぎ》つて居《を》る。
此《この》海嘯《つなみ》は後《のち》に分《わか》つたが、印度洋《インドやう》中《ちう》マルダイ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82][#「マルダイ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]」に二重傍線]島《たう》附近《ふきん》の海底《かいてい》の地滑《ちすべ》りに原因《げんいん》して、亞弗利加《アフリカ》の沿岸《えんがん》から、亞剌比亞《アラビヤ》地方《ちほう》へかけて、非常《ひじやう》な損害《そんがい》を與《あた》へた相《さう》だが、其《その》餘波《よは》が此《この》孤島《はなれじま》まで押寄《おしよ》せて來《き》たのである。
兎《と》に角《かく》非常《ひじやう》な騷動《さうどう》!
幸福《さひはひ》にも吾等《われら》の家《いへ》は、斷崖《だんがい》の絶頂《ぜつてう》に建《た》てられて居《を》つたので、此《この》恐《おそ》る可《べ》き惡魔《あくま》の犧牲《ぎせい》となる事《こと》丈《だ》けは免《まぬ》かれた。けれど、それと同時《どうじ》に、第一《だいいち》に吾
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