よくじつ》となると、吾等《われら》撰任《せんにん》されたる五名《ごめい》は未明《みめい》に起床《おきい》でゝ鐵車《てつしや》へ乘組《のりく》んだ。頓《やが》て鐵車《てつしや》は勢《いきほひ》よく進行《しんかう》を始《はじ》めると、櫻木大佐《さくらぎたいさ》をはじめ三十|餘名《よめい》の水兵《すいへい》共《ども》は歡呼《くわんこ》を擧《あ》げて、十|數町《すうちやう》の間《あひだ》吾等《われら》の首途《かどで》を見送《みおく》つて呉《く》れたが、遂《つひ》に、唯《と》ある丘陵《をか》の麓《ふもと》で別《わかれ》を告《つ》げ、吾等《われら》は東《ひがし》へ、彼等《かれら》は西《にし》へ、其《その》丘《をか》の中腹《ちうふく》にて、櫻木大佐等《さくらぎたいさら》が手巾《ハンカチーフ》を振《ふ》り、帽子《ぼうし》を動《うご》かして居《を》る姿《すがた》も、頓《やが》て椰子《やし》や橄欖《かんらん》の葉《は》がくれに見《み》えずなると、それから鐵車《てつしや》は全速力《ぜんそくりよく》に、野《の》と云《い》はず山《やま》と云《い》はず突進《つきすゝ》む、神變《しんぺん》不思議《ふしぎ》なる自動鐵車《じどうてつしや》の構造《こうぞう》は、今更《いまさら》管々《くだ/″\》しく述立《のべた》てる必要《ひつえう》もあるまい、森林《しんりん》を行《ゆ》く時《とき》は、旋廻圓鋸機《せんくわいえんきよき》と、自動鉞《じどうまさかり》との作用《さよう》で、路《みち》を切開《きりひら》き、山《やま》を登《のぼ》るには、六個《ろくこ》の齒輪車《しりんしや》と揚上機《やうじやうき》、遞進機《ていしんき》の働《はたらき》で、地《ち》を噛《か》み、石《いし》を碎《くだ》いて進行《しんかう》するのだ。大約《おほよそ》道《みち》の四五里《しごり》も進《すゝ》んだと思《おも》ふ處《ところ》から山《やま》は益々《ます/\》深《ふか》くなり、路《みち》はだん/\と險阻《けんそ》[#ルビの「けんそ」は底本では「けそ」]になつたが、元氣《げんき》なる武村兵曹《たけむらへいそう》は、何《な》んでも日沒《ひぐれ》までには二十|里《り》以上《いじやう》を進《すゝ》まねばならぬと勇《いさ》み立《た》つ。
山《やま》に入《い》ると、直《たゞ》ちに猛獸《まうじう》毒蛇《どくじや》の襲撃《しふげき》に出逢《であ》ふだらうとは兼
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