\》と鼻髯《びせん》を捻《ひね》りつゝ
『若《も》し不時《ふじ》の天變《てんぺん》が無ければ、今《いま》より二年《にねん》九《く》ヶ|月目《げつめ》、即《すなは》ち之《これ》から三度目《さんどめ》の記元節《きげんせつ》を迎《むか》ふる頃《ころ》には、試運轉式《しうんてんしき》を擧行《きよかう》し、引續《ひきつゞ》いて本島《ほんとう》を出發《しゆつぱつ》して、懷《なつ》かしき芙蓉《ふえう》の峯《みね》を望《のぞ》む事《こと》が出來《でき》ませう。』と答《こた》へ、艇《てい》の名《な》に就《つ》いては斯《か》う言《い》つた。
『實《じつ》[#ルビの「じつ」は底本では「じ」]は、電光艇《でんくわうてい》と命名《めいめい》する積《つもり》です。』
電光艇《でんくわうてい》! 電光艇《でんくわうてい》[#ルビの「でんくわうてい」は底本では「でんこくうてい」]! 如何《いか》に其實《そのじつ》に相應《ふさは》しき名《な》よと、私《わたくし》は感嘆《かんたん》すると、大佐《たいさ》は言《ことば》をつゞけ
『此《この》艇名《ていめい》は、我《わ》が敬慕《けいぼ》する山岡鐵舟先生《やまをかてつしうせんせい》の詩《し》より採《と》つたのです。』
『鐵舟先生《てつしうせんせい》の詩《し》?。』と私《わたくし》は小首《こくび》を傾《かたむ》けたが、忽《たちま》ち心付《こゝろづ》いた。
『電光影裏斬春風《でんくわうえいりしゆんぷうをきる》、此《この》詩《し》ですか。』
『それです』と大佐《たいさ》は莞爾《につこ》と打笑《うちえ》みつゝ
『他日《たじつ》我《わ》が海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》が、帝國軍艦旗《ていこくぐんかんき》を飜《ひるがへ》して、千艇※[#「一/力」、197−12]艦《せんていばんかん》の間《あひだ》に立《た》つの時《とき》、願《ねがは》[#ルビの「ねがは」は底本では「ねがほ」]くば其《その》名《な》の如《ごと》く、神速《しんそく》に、且《か》つ猛烈《まうれつ》ならん事《こと》を望《のぞ》むのです。』
此《この》談話《だんわ》が叔《をは》ると、私《わたくし》は大佐《たいさ》に別《わかれ》を告《つ》げ、武村兵曹《たけむらへいそう》に送《おく》られて、前《まへ》の不思議《ふしぎ》なる道《みち》を※[#「過」の「咼」に代えて「咼の左右対称」、198−4]《す》ぎて、秘密造船所
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