て顔を洗へよ。青い眼鏡を掛け給へ〉蒙昧の友等は深く反省する。単純な街角をあわただしく馳け廻る。深夜の凄まじい挺転に捲き込まれて、誰が笑ふことを忘れるだろうか。ああ擾然たる街に還らう。己ばかりは寂しく慚愧して、恐らく崩潰する天の一角を狙ふだらう。悪辣なる少年となつて大破産を希ふだらう。何でもいい、今一度、灰色のバルドヰン、大外套の亡霊。めぐり遇つた時こそ、彼の傷痍をむざんに刳つてやるのだ。……足もとの草々には風に切れて、丘陵地方の夜明けを、己はなほも歩きつゞける。入江に向つて降りてゆく。


  終駅

聴カセテクレ
木ツ葉ガ飛ンデル眼ノオク底カラ
黒※[#「木+解」、第3水準1−86−22]ノ organ ヲブチ壊ス
凄マジイ君ノ音楽ヲ
流木ノヤウニ刃コボレタ音《ネ》イロガ
ソツポ向イタ君ノ無表情カラ離レルト
ソコカラ ドカドカト冬ガ踏ミコンデクルノダ
季節ハズレナ大扉ノ外デ 雹ニウタレタ signal ニ凭レ
不逞ノ 頽廃シタ terminus ノ人ヨ

ブザマニ棉花ヲ曝ス
酷イ旱魃ノ地角カラダ
ナン百ノ貨車ノ下ヲ
wire ノ痕ト瀝青ヲ背負ツテ 遠ク過ギテキタ己タチ
ワヅカ Cob
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