超越したものにぶつかって行くのです。
 ジードは人間として×××になったけれど、彼の芸術までを×××に渡そうとはしません……(略)
 美のための美はいけない。
 芸術は××も×××美も何にもない処の、切実な現実を現わすのです。(略)
 この手紙を書いて仕舞って我ながら驚いたのです。何故ならお母さんの本当のところは××思想を解している。あの天地間の闊達無碍《かったつむげ》な超越的な思想からすれば、今更僕が以上のような手紙を書かなくてもいいわけなのです。こんな煩雑なことを誰がさせるのですか。お母さん、やっぱりあなたがさせるのです。お母さんはあんな立派な思想を研究し了解し得る素質を持っているくせに、お母さんの個人的にそれに添わない幼稚な到らない処が残っているのです。で、ともすれば子の僕にさえ、ただの××だなとお母さんを思わせ、こんな手紙も書かせるのです。お母さんの一方は余り偉過ぎます。一方は余り偉くなさ過ぎます。生憎《あいにく》なことには偉くない方がお母さん自身にも他にも多く働き掛けるのです。両方がよく調和した時がお母さんの本当の完成を見る時なのです。(後略)

 かの女はむす子が曾て、あれ
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