巴里祭
岡本かの子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)追放人《エキスパトリエ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)裁縫|鋏《ばさみ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぼつ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
彼等自らうら淋しく追放人《エキスパトリエ》といっている巴里幾年もの滞在外国人がある。初めはラテン区が彼等の巣窟《そうくつ》だったが、次にモンマルトルに移り、今ではモンパルナッスが中心地となっている。
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
――六月三十日より前に巴里を去るのも阿呆、六月三十日より後に巴里に居残るのも阿呆。」
[#ここで字下げ終わり]
これは追放人《エキスパトリエ》等の口から口に伝えられている諺《ことわざ》である。つまり六月一ぱいまでは何かと言いながら年中行事の催物《もよおしもの》が
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