ろだ、若い僧の行き度がるのも無理はない。礼儀が正しくて、御馳走をして呉れて、金を取らんというのだから。あすこなら、みんなもせいぜい行きなさい」
青年僧達は茶屋の実際を経験してよく知って居ましたが、この二僧の茶屋探検観察談を聞いてからは、ふっつり内証の茶屋遊びを止めて仕舞いました。
一方、祇園の四郎兵衛の茶屋の女中たちは互いに噂をし合っていました。
「あの老僧たちは何という腕のある人達だろう。たった一時にしろ、あんなに人をしみじみした気持ちにさしてさ。私たちは幾つかの恋愛をしたけれども、どんな恋人からもあんな気持ちにさせられた事は一遍も無かった」
底本:「岡本かの子全集2」ちくま文庫、筑摩書房
1994(平成6)年2月24日第1刷発行
底本の親本:「老妓抄」中央公論社
1939(昭和14)年3月18日発行
初出:「禅の生活」
1935(昭和10)年6月号
入力:門田裕志
校正:オサムラヒロ
2008年10月15日作成
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