とする男性の自由の欲望から発達したものだという話もある。
 そうかと思うと、それほどけばけばしく女性尊重を放送しないフランス人が、家庭は全く主婦の女王の傘下《さんか》に従順《じゅうじゅん》に温《あたた》まって易々諾々《いいだくだく》である。フランス人に言わせるとこの方が生活にも人生にも利口《りこう》なやり方だと言う。
 武士道《ぶしどう》と言えば、女は眼中《がんちゅう》にないような風に言われながら、正妻《せいさい》となるとなかなか格式を与えて十分な権利を主張せしめている。淀君《よどぎみ》にうつつ[#「うつつ」に傍点]を抜かした秀吉が、北の政所《まんどころ》に対する態度などにみても相当彼女を立てているところがある。
 フェミニストにもいろいろある。全然女性なるものを知らない理想主義風に尊敬するものもあれば、変態的の性格から女性にへりくだるものもある。また「英雄が女性の胸に額をつけるとき、遠き星の囁《ささや》きを聴く」事業上の霊感の交媒者《こうばいしゃ》として女性に神秘を感じ、フェミニストたるものもある。ジョセフィンに対するナポレオンはそれであった。
 兎《と》に角《かく》真のフェミニスト
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