女性の不平とよろこび
岡本かの子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)欠伸《あくび》を
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)有史以来|圧《おさ》え
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ためて[#「ためて」に傍点]
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女が、男より行儀をよくしなければならないということ。
人前で足を出してはいけない、欠伸《あくび》をしてはいけない、思うことを云《い》ってはいけない。
そんな不公平なことはありません。女だって男と同じように疲れもする、欠伸もしたい、云い度《た》いと思うことは沢山《たくさん》ある。疲れやすいこと欠伸をしたいことなどは、むしろ男より女の方がよけいかもしれない。それだのに、なぜ、昔から男は、食後でも人前でも勝手《かって》に足を出し欠伸をし、云い度いことも云えるのに、女にそれが許されないのだろう。
外側をためて[#「ためて」に傍点]ばかりいると、内側の生命が萎縮《いしゅく》してしまう。
男が伸々《のびのび》と拘束《こうそく》なしに内側の生命を伸《のば》す間に、女は有史以来|圧《おさ》えためられてそれ
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