れば前に食べた六枚の煎餅は無駄というものである。それからというものは、この男は腹が減って煎餅を食べるときには、先ず煎餅を取って数えた。一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、そしてこれ等の六枚の煎餅は数えただけで食わないのである。彼は七枚目に当った煎餅を口へ持って行き半分だけ食った。そしてそれだけでは一向腹がくちく[#「くちく」に傍点]ならないのを如何にも不思議そうに考え込んだ」(百喩経より)



底本:「岡本かの子全集2」ちくま文庫、筑摩書房
   1994(平成6)年2月24日第1刷発行
底本の親本:「岡本かの子全集 第十四卷」冬樹社
   1977(昭和52)年5月15日初版第1刷
初出:「キング」講談社
   1936(昭和11)年5月号
入力:門田裕志
校正:オサムラヒロ
2008年10月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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