ンに残って働き、私は彼の恋人の女優と同じ汽車で伯林へ帰った。汽車の中で、私は彼女に訊いた。
「あなたは何が望みなのですか」すると彼女は猶予《ゆうよ》もなく答えた。
「私は早く結婚して主婦になり度いと思って居ます。そして、もうそうそう方々を駆け廻らずに、家にいてじっと暮して、掃除だの、裁縫だのをし度いのです」



底本:「岡本かの子全集2」ちくま文庫、筑摩書房
   1994(平成6)年2月24日第1刷発行
底本の親本:「老妓抄」中央公論社
   1939(昭和14)年3月18日発行
初出:「宗教公論」
   1935(昭和10)年2、3月号
入力:門田裕志
校正:オサムラヒロ
2008年10月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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