がけて近《ちか》よつて、
銃《つゝ》のねらひをつけかける。
すると鸚鵡《あうむ》は氣《き》がついて
例《れい》の言葉《ことば》を云《い》ひ出《だ》した
※[#始め二重括弧、1−2−54]誰《た》れだ、そこにゐるのは?
誰《た》れだ?…※[#終わり二重括弧、1−2−55]
*
呆《あ》つ氣《け》にとられて百姓《ひやくしやう》は、
聲《こゑ》する方《かた》を見《み》まもつた。
この百姓《ひやくしやう》はその日《ひ》まで
鸚鵡《あうむ》といふもの知《し》らなんだ
こんなに上手《じやうづ》にものをいふ
鳥《とり》に出《で》あつた試《ため》しなし
※[#始め二重括弧、1−2−54]誰《た》れだ、そこにゐるのは?
誰《た》れだ?…※[#終わり二重括弧、1−2−55]
*
そこで段々《だん/\》怖《こわ》くなり、
鐵砲《てつぽ》は手《て》からずり[#「ずり」に傍点]おとし、
帽子《ぼうし》をとつて丁寧《ていねい》に
お辭儀《じぎ》したあと言《い》ふことは、
『いや御免《ごめん》ください、わたくしは
貴方《あなた》を鳥《とり》だと思《おも》ひました。』
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