かご》の扉《と》を
うつかり女中《ぢよちう》が開《あ》けたとき
得《え》たりと鸚鵡《あうむ》は逃《に》げ出《だ》して
早速《さつそく》庭《には》の木《き》にとまる。
呼《よ》んでも籠《かご》へは歸《かへ》らない、
傍《そば》まで行《ゆ》くと例《れい》の聲《こゑ》
※[#始め二重括弧、1−2−54]誰《た》れだ、そこにゐるのは?
誰《た》れだ?…※[#終わり二重括弧、1−2−55]
*
それから森《もり》へ飛《と》んでゆき、
櫻實《ゆずらうめ》なぞ啄《つつ》ついた。
森《もり》は胡桃《くるみ》が花盛《はなざか》り、
莓《いちご》は藪《やぶ》に熟《う》れてゐる。
天氣《てんき》はよいし、人《ひと》はゐず、
鸚鵡《あうむ》は愉快《ゆかい》でたまらない。
*
さてこゝに一人《ひとり》の百姓《ひやくしやう》さん、
鐵砲《てつぽう》かりて獵《かり》に出《で》て、
森《もり》を朝《あさ》からさまよつて
見《み》つけたものはこの鸚鵡《あうむ》。
『ホウ!』と思《おも》はず喜《よろこ》んで、
銃《つゝ》とりあげて忍《しの》び足《あし》、
獲物《えもの》目《め》
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