つの頃からか筧にはその深祕がなくなってしまい、私ももうその傍に佇《たたず》むことをしなくなった。しかし私はこの山径を散歩しそこを通りかかるたびに自分の宿命について次のようなことを考えないではいられなかった。
「課せられているのは永遠の退屈だ。生の幻影は絶望と重なっている」



底本:「檸檬・ある心の風景」旺文社文庫、旺文社
   1972(昭和47)年12月10日初版発行
   1974(昭和49)年第4刷発行
入力:j.utiyama
校正:福地博文
1998年11月27日公開
2005年10月3日修正
青空文庫作成ファイル:
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