はあの晩そんなにも待たなかつただらう。
 東京を立つ二三日前から私はさるすべり[#「さるすべり」に丸傍点]の花に驚かされてゐた。それが道中では至る所さるすべり[#「さるすべり」に丸傍点]と蓮の花だつた。この夏はさるすべり[#「さるすべり」に丸傍点]の美しさを知つたと云はうか。大阪は緑もなく花もない。つい疲れにまけて編輯後記をおくらせてしまつた。

       ○

 八月二日から第三種郵便物の認可をうけた。だから八月號からは送料が、二十匁迄五厘、それから二十匁毎に五厘となつた。御注意まで。
[#地から1字上げ]――八月十八日・大阪――



底本:「梶井基次郎全集 第一卷」筑摩書房
   1999(平成11)年11月10日初版第1刷発行
初出:「青空」
   1926(大正15)年9月号
入力:土屋隆
校正:高柳典子
2005年5月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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