柳原※[#「火+華」、第3水準1−87−62]子(白蓮)
長谷川時雨
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)究《きわ》め
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日常|傍《かたわ》ら
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「火+華」、第3水準1−87−62]子
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一
ものの真相はなかなか小さな虫の生活でさえ究《きわ》められるものではない。人間と人間との交渉など、どうして満足にそのすべてを見尽せよう。到底及びもつかないことだ。
微妙な心の動きは、わが心の姿さえ、動揺のしやすくて、信実《まこと》は書きにくいのに、今日《こんにち》の問題の女史《ひと》をどうして書けよう。ほんの、わたしが知っている彼女の一小部分を――それとて、日常|傍《かたわ》らにある人の、片っぽの目が一分間見ていたよりも、知らなすぎるくらいなもので、毎朝彼女の目覚《めざめ》る軒端《のきば》にとまる小雀《こすずめ》のほうが、よっぽど起居を知っているともいえる
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