死んだ中央公論社の婦人記者|波多野秋子《はたのあきこ》、さては新劇壇の明星|松井須磨子《まついすまこ》も書きのこされまい。芳川鎌子《よしかわかまこ》を知る人は、それより一足前にあった、大坂|鴻池《こうのいけ》夫人福子の哀れな心根に、女の一生というもののわびしさをも感じるであろう。そういう点で、いまは宮崎龍介《みやざきりゅうすけ》氏夫人であるもとの筑紫《つくし》の女王|白蓮《びゃくれん》女史の※[#「火+華」、第3水準1−87−62]子《あきこ》さんは幸福だ。
なお多くの人の名をつらねても、伝の一片を書き得ないのを怨《うら》みとしてこれを終る。
[#地から2字上げ]――昭和二年六月十五日『太陽』明治大正の文化特別号所載――
底本:「新編 近代美人伝(上)」岩波文庫、岩波書店
1985(昭和60)年11月18日第1刷発行
1993(平成5)年8月18日第4刷発行
底本の親本:「近代美人伝」サイレン社
1936(昭和11)年2月発行
初出:「太陽 明治大正の文化特別号」
1927(昭和2)年6月15日
入力:門田裕志
校正:川山隆
2007年9月5日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長谷川 時雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング