四人の兵隊
長谷川時雨

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)迦陵頻伽《がりようびんが》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一番|幸福《しあはせ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)はいつて[#「はいつて」は底本では「はついて」]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ホク/\
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 出征文人の一員、林芙美子のリユツクサツクのなかへはいつて[#「はいつて」は底本では「はついて」]、わたしの心持も行くといふと奇矯にきこえるが、わたくしの兵隊さん慰問文が、おぶつていつてもらふことになつた。思ひがけない嬉しさなので、どうしてもそのことから書かなければ氣がすまない。
 芙美子は電話で優しくいつてくれた。五通ばかりお書きなさい。よい場處へ、畫鋲で貼つて來てあげます。
 それをきいた時の感は、迦陵頻伽《がりようびんが》の聲とは、かうもあらうかと忝けなかつた。含みのある、美しき情《なさけ》に富んだ聲音《こはね》――きくうちに、わたしの心は、花が開くときもまたかうもあらうかと思ふ、和《やは》
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