子がこんどは先頭になるのだ。
雛《ひな》一丁おくれは、ずらりと子供を並べておいて、売手が一人、買手が一人、節をつけて唄い問答する――
[#ここから2字下げ]
ひな一丁おくれ、
どの雛目つけた。
この雛目つけた、いくらにまけた。
三両にまけた、なんで飯《まんま》くわす?
赤のまんまくわしょ。
魚《さかな》をやるか?
鯛魚《たいとと》くわしょ。
小骨がたあつ、
噛《か》んでくわしょ……
[#ここで字下げ終わり]
ここは何処《どこ》の細道じゃも唄《うた》うのだ。二人の鬼が手を組んで門をつくり袖を垂《た》れている。袖の後《うしろ》に一人の子が隠されている。訪ねてくるものが、まず唄って、鬼がこたえる。
[#ここから2字下げ]
ここは何処の細道じゃ/\
天神様《てんじんさま》の細道じゃ/\
ちっと通してくださんせ/\
御用のないもな通されぬ/\
天神様へ願かけに/\
通りゃんせ、通りゃんせ。行きはよいよい、帰りはこわい――
[#ここで字下げ終わり]
袖があがる、訪ねるものは通ってゆく。こんどは隠された子をつれてくぐりぬけるのに鬼どもはいやというほどなぐろうとする。そうさせまいと走りぬける
前へ
次へ
全19ページ中18ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長谷川 時雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング